Tシャツが乾くまで。失踪癖の方へのカウンセリング

Tシャツが乾くまでというドラマを私も楽しく拝見しています。

そこで、昨日の放送で『失踪癖』というワードが出てきました。

大阪阿倍野まことカウンセリングルームでも失踪癖のカウンセリングでもよく扱っていますので

少し記事を書いてみたいと思います。

 

失踪癖|夫婦関係を立て直す重要な7つの対話と再発防止策

失踪癖のある夫や妻に振り回され、「また突然いなくなるのでは」と眠れない夜を過ごしていませんか。

連絡が途絶えるたびに事故や事件を心配し、怒りと不安の間を行き来する。ようやく帰ってきても、何を聞けばよいのか分からない。責めれば再び消えそうで、本音を飲み込んでしまう。

警察に失踪届を出しても、なんらかのよくない形で見つかった時以外に警察からの連絡はありません。

警察が探してくれるわけではないからです。

この記事では、「失踪癖」という言葉を診断名としてではなく、夫婦関係の中で繰り返される「突然家を離れる」「連絡を断つ」「話し合いの途中で消える」「突然ラインをブロックする。(された)」といった行動の総称として使います。

大切なのは、いなくなった人を一方的に悪者にすることでも、待っていた人に我慢を求めることでもありません。

行動の奥にある心の動きと、二人の間に生まれた悪循環を分けて考えることです。

失踪癖は、愛情の有無だけでは説明できません。しかし、理由があることと、相手を不安にさせる行動が許されることも別です。

この二つを同時に扱うところから、夫婦関係の立て直しが始まります。

失踪癖は「逃げたい人」だけの問題ではない

突然いなくなる行動を目の前にすると、「無責任」「自分勝手」「家族を捨てた」という理解になりやすいものです。

実際、残された側が受ける衝撃は大きく、生活費、育児、仕事、親族への説明まで、一人に負担が集中することがあります。その現実を曖昧にしてはいけません。

一方で、消える側の内面では、「もう説明できない」「失望される前に離れたい」「話し合えば負ける」「自分がいるほど迷惑をかける」といった考えが、急激に強まることがあります。

頭で選んだというより、心身が危険を避けるように、遮断や回避へ傾く場合もあります。

ここで注目したいのが、「人」ではなく「二人の間に起きる循環」です。

不安になった側が連絡を増やす。圧迫感を覚えた側がさらに心を閉じる。返事がないため、もっと強い言葉で追う。そして、相手が消える。

この「追う側と逃げる側」の循環が固定すると、どちらも自分を守ろうとしているのに、結果として関係の安全が失われていきます。

失踪癖の背景に隠れやすい3つの心の動き

感情を言葉にする前に心身が限界を迎える

怒り、恥、罪悪感、無力感を言葉にする経験が少ない人は、「つらい」と伝える代わりに、その場から離れることがあります。

本人にも感情の名前が分からず、「とにかくここにいられない」という感覚だけが残るのです。

これは失踪を正当化するための説明ではありません。再発を防ぐために必要な観察点です。

失敗を見せるくらいなら関係そのものを切りたくなる

仕事、お金、家事、育児、夫婦生活などで失敗したと感じたとき、強い恥が生まれる人もいます。

恥は「悪いことをした」という感覚より、「自分そのものが駄目だ」という感覚に近いため、謝罪や相談より先に姿を消すことがあります。

帰宅後に何事もなかったように振る舞うのも、反省がないからとは限りません。恥に触れると再び耐えられなくなるため、問題そのものを避けている可能性があります。

過去の家庭で身につけた関係の終わらせ方を繰り返す

子どもの頃、家族が怒鳴り合う、長期間口をきかない、突然家を出るなどの形で問題を処理していた場合、それが大人になってからの「関係が苦しくなったときの出口」になることがあります。

ただし、過去が原因だから変えられないわけではありません。失踪癖はカウンセリングでの改善が見込める病です。

当院でもほとんどの患者様が改善され失踪から離れていきました。

無意識のパターンを二人で見える形にできれば、失踪とは異なる新しい出口を練習できます。

失踪癖を繰り返さないための重要な7つの対話

1 帰宅直後は尋問より安全確認を優先する

帰宅した瞬間に全てを聞き出そうとすると、消えた側が再び心を閉じることがあります。

まずは身体の安全、けが、睡眠、食事、金銭面を確認します。ただし、「帰ってきたから終わり」にはしません。

落ち着いて話す日時をその場で決め、問題を先送りにしないことが重要ですが、できれば第三者を交えて話す方が良い場合が多いです。カウンセラーを活用して下さい。

2 事実と想像と感情を分けて伝える

「あなたは私たちを捨てた」と断定する代わりに、「二日間連絡がなかった」が事実、「もう戻らないと思った」が想像、「怖くて眠れなかった」が感情です。

この三つを分けると、相手の人格を攻撃せずに、受けた傷の大きさを伝えられます。

消えた側も、「責められた」が事実なのか、「自分は不要だと思われた」が想像なのかを分けてみます。

夫婦の会話では、想像を事実だと思い込んだ瞬間に、相手の言葉が届かなくなることがあります。

3 失踪の直前に起きる小さなサインを探す

失踪は、家を出た瞬間に始まるわけではありません。

口数が減る、スマートフォンを見なくなる、眠れない、帰宅が遅くなる、「もういい」という言葉が増えるなど、前段階があります。

二人で「黄色信号」を三つ程度決めておくと、失踪になる前に休憩や相談へ切り替えやすくなります。

重要なのは、黄色信号を見つけた側が問い詰めないことです。「最近静かだけれど、今は話す、休む、後で伝えるのどれがよいですか」と選択肢を渡します。

4 話し合いから離れる場合の最低限ルールを決める

冷静になるための距離は必要なことがあります。しかし、休憩と無期限の音信不通は別のものです。

「今は話せないが安全です」「何時までに連絡します」「今夜どこで休むかだけ伝えます」など、短い定型文を決めておきましょう。

内容を詳しく説明できなくても、安全であることと次の連絡時刻だけは共有する。これが夫婦の最低限の境界線になります。

守れなかった場合にどうするのかも決めておきます。罰を与えるためではなく、残された家族が迷わず安全確認を始められるようにするためです。

5 残された側の安心も具体的な行動で回復する

謝罪だけで安心は戻りません。また繰り返すかも?と思うからです。

連絡の約束を守る、生活費を止めない、子どもへの説明を二人で考える、カウンセリングを予約するなど、予測可能な行動を積み重ねる必要があります。

信頼とは「もう絶対にしない」という強い言葉ではありません。「次に何が起きるか分かる」という小さな経験の積み重ねです。

言葉よりも、一定期間続いた行動のほうが、残された側の心身に安心を伝えてくれます。

6 追いかける側にも支援を用意する

待つ側は、相手の位置や気分を常に監視したくなることがあります。それほど怖い経験だったということです。

ただ、監視を強めるほど、二人の関係が「管理する人と逃げる人」に固定される危険もあります。

友人、家族、相談窓口、個別カウンセリングなど、安心を配偶者一人だけに背負わせない支えを作りましょう。

相手の行動を変えることと、自分の生活や睡眠を守ることは別々に考える必要があります。

7 二人だけで話す限界を認める

同じ話題で毎回、追及、沈黙、失踪、帰宅、うやむやという流れになるなら、二人の意思が弱いのではありません。

二人の会話の仕組みそのものが限界に達しています。

第三者が入ることで、どちらが正しいかではなく、「どの瞬間に会話が危険になるか」を一緒に観察できます。

相手を連れていくための夫婦カウンセリングではなく、二人の間に安全な会話を取り戻すための夫婦カウンセリングと考えてみてください。

失踪癖と夫婦カウンセリングで最初に行うこと

夫婦カウンセリングは、無理に仲直りさせる場所ではありません。

最初に行うのは、安全の確認と問題の整理です。暴力、脅迫、自傷の危険、依存、重い心身の不調、借金などがある場合は、夫婦の対話より先に医療や専門機関との連携が必要になることもあります。

安全が確認できたら、失踪に至るまでの流れを時系列に並べます。

「何を言ったか」だけでなく、身体が固くなった、息が浅くなった、頭が真っ白になった、見捨てられる気がしたという反応も丁寧に扱います。

最近のカウンセリングでは、考え方だけでなく、心身が防御状態へ切り替わる瞬間にも注目します。

ここが見えると、「次はもっと我慢する」という曖昧な約束ではなく、「黄色信号が出たら二十分離れ、定型文を送り、翌日の何時に話を再開する」という実行可能な計画へ変えられます。

二人で相談することに抵抗がある場合は、最初に一人で状況を整理する方法もあります。当サイトの夫婦カウンセリングのご案内も参考にしてください。

「また消えたら」と不安なときに作る再発防止メモ

口約束は、強いストレスがかかると忘れられます。そこで、二人で短い再発防止メモを作ります。

書いておきたいのは、「失踪の前兆」「一人になる時間の上限」「最低限送る連絡」「戻って話す日時」「連絡が取れない場合に確認する人」「緊急時に使う相談先」です。

居場所の共有をどうするかは、安心とプライバシーの両方を話し合って決めます。

再発防止メモは、相手を縛る契約書ではありません。危機の最中に判断力が落ちても使える、二人の避難経路です。

一度で完璧にしようとせず、実際に使った後に修正してください。

失踪癖を愛情だけで解決しようとしない

「愛しているなら消えないはず」「信じているなら待てるはず」という言葉は、二人を追い詰めます。

愛情があっても、人は強いストレスの中で不器用な防御を選ぶことがあります。そして愛情があっても、残された側が限界を超えて耐える必要はありません。

国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイト「ストレスとセルフケア」でも、ストレスのサインに気づくことや、不調が続く場合に早めに専門家へ相談することが案内されています。

心身の不調が強い場合は、カウンセリングだけで抱えず、医療機関や公的な相談窓口も利用してください。

もし生命の危険、自傷や他害のおそれ、事故や事件の可能性があるなら、夫婦の話し合いより安全確保が最優先です。緊急機関や警察、地域の相談窓口へ連絡してください。

失踪癖のある夫婦が回復するときに変わるもの

回復とは、「二度と離れたいと思わない夫婦」になることではありません。

離れたいほど苦しくなったときに、消える以外の方法を選べるようになることです。追う側も、無限に連絡し続ける以外の方法で、自分の安全を守れるようになることです。

「逃げたあなたが悪い」「追い詰めたあなたが悪い」という裁判を続けると、二人は過去から動けません。

責任を曖昧にせず、それでも人格まで否定しない。この難しい対話を支えるために、夫婦カウンセリングがあります。

突然いなくなる行動の背後には、言葉にならなかった苦しさがあります。残された側にも、理解してもらえなかった恐怖があります。

両方の声が安全に存在できたとき、失踪癖は「どうしようもない性格」から、「二人で扱える関係の課題」へ変わっていきます。

まずはお気軽に『ウエルカムカウンセリング』へお越しくださいませ^^

 

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